手元に殺虫剤がない時のGとの戦い方

私は、田舎育ちなので虫には強い方です。

おまけに代々我が家は、害虫と戦うのは女性で母や祖母が勇ましく戦う姿を幼い頃から目にしていました。
嫁いだ現在でも、害虫と戦うのは私の役目。夫はソファの上で様子を伺うのが常です。

それでも、新聞紙が無い。殺虫剤が無い。そもそも日本じゃない。

そんな場所で戦った経験はありませんでした。去年の夏、ベトナムに行くまでは…。

「あぁぁぁ!!」

先を歩く友人が叫び声を上げてホテルのドアを閉じたのは旅行初日。チェックインの直後でした。

「何?どうしたの?」

「G!G!!Gがいた!!」

「G?あぁ、あの黒い害虫?」

Gとは、恐らく最も多くの日本人が恐れ戦くキッチンや飲食店に出る黒く、平たい円錐形で、素早い害虫の事でしょう。

「早く!早く誰かなんとかして!!」

(誰かって言われても私たちしかいないんだから、私しかいないでしょう…。)

宿泊したホテルはマンションの様なタイプの1F。
フロントのある管理棟まで行っている間に逃げてしまうのは目に見えています。

(でも、戦えそうな道具持ってないんだよな。)

何かないかと鞄を漁ると中から、虫よけスプレーが出てきました。
とりあえず何も持たないよりはマシです。

こっそり、扉を開け中に入ると廊下の隅の方に例の害虫がいました。
後ろを取り、思いっきり虫よけスプレーを噴射します。

日本の害虫の様に飛び掛かってくるかと身構えたのもつかの間、廊下を私と反対方向に疾走して行きます。
後を追いかけたのですが、想像より動きがニブイ。

(一応、効いてる…?)

ついには動きが止まりましたが、今にも体力が回復して飛び掛かってきそうです。

(なにか、とどめを刺すものは)

その時ふと、父が唯一害虫駆除をした時の話を思い出しました。

『大学生の時、フロ入ってたら排水溝からGが出てきてさ。
裸だからお婆ちゃん(父の母)は呼べないし…で、とりあえず動きが鈍くなれば…って夢中でシャンプーをかけたんだよな。
そうしたらその内の一発が運よく当たって駆除できたんだよ!!』

(シャンプー…。)

思わず洗面を覗くと、そこにはリキッドタイプのハンドソープがありました。

それを掴んで害虫の上にかけると、微かに動いていた足の動きが完全にとまりました。

(や、やった…倒した。)

その後はフロントに連絡をし、ブツを片付けてもらいました。

以来、更にたくましくなった私は毎回旅行の度に部屋への先陣をきらされる様になったのです。

来月、バリ島に行くのですが…出そうだな。